18F 「自然数と同じようで違う?」 ― 小数の四則演算

2. 分数と小数

こんにちは、まてがめです。

前回は、分数との違いなども交えつつ小数について解説しました。

小数は10進法をベースにしているので、計算を行う際は自然数の場合とほとんど変わりません。ですが注意しなくてはならない部分もあるので、そこはしっかり押さえていきましょう!

今回は足し算から割り算まで一気に学んでいきますよ!

小数の足し算・引き算

例を使って考えてみましょう。

Aさんは身長が1.7 m、Bさんは身長が1.57 mある。この時、

(1) AさんとBさんの身長の合計は何mになるか?
(2) AさんとBさんの身長差は何mになるか?

(1)

これは足し算ですね。

$1.7+1.57$

筆算を使って計算してみましょう。小数の足し算においても、筆算では位をそろえます

1.7+1.57の筆算

小さい位から計算していきます

  1. 小数点第2位 → そのまま7が下りてきます。
  2. 小数点第1位 → $5+7 = 12$なので、1が繰り上がり、2が下りてきます。
  3. 一の位 → 繰り上がってきた1も加えると、$1+1+1 = 3$なので、3が下りてきます。
  4. 位をそろえて計算しているので、小数点は同じ位置につけます。

よって、答えは3.27 mとなります。

(2)

今度は引き算ですね。

$1.7-1.57$

こちらも位をそろえて筆算を使っていきます。

1.7-1.57の筆算
  1. 小数点第2位 → 上段に数字がないので、代わりに0があると考えます。小数点第1位を繰り下げ、$10-7 = 3$なので3が下りてきます。
  2. 小数点第1位 → 上段は先ほど繰り下げたので、$6-5=1$となり、1が下りてきます。
  3. 一の位 → $1-1 = 0$なので、0が下りてきます。
  4. 位はそろえて計算しているので、小数点は同じ位置につけます。

よって、答えは0.13 mとなります。

【小数の足し算・引き算】

  1. 位をそろえて筆算(繰り上がり・繰り下がりに注意)
  2. 同じ位置に小数点をつける

小数の掛け算

Cさんは身長が1.5 mある。一方、Dさんの身長はCさんの1.12倍だという。

この時、Dさんの身長は何mになるか?

「○○倍」と言っているので、掛け算になります。

$1.5 \times 1.12$

さっそく筆算を使って計算したいところですが、ちょっと待ってください!

掛け算の筆算は足し算や引き算とは異なり、位をそろえて単に上から下へ計算するわけではないので、小数点の位置についてはちゃんと考える必要があります

そこで、分数を使って次のように式を変形してみましょう。

$\begin{align}
1.5 \times 1.12 & = \dfrac{15}{10} \times \dfrac{112}{100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{15 \times 112}{10 \times 100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{15 \times 112}{1000}
\end{align}$

小数点以下の桁1つにつき、$\frac{1}{10}$が対応します。

(例)

$\dfrac{48}{10} = 4.8$

$\dfrac{256}{100} = \dfrac{256}{10 \times 10} = 2.56$

$\dfrac{8462}{1000} = \dfrac{8462}{10 \times 10 \times 10} = 8.462$

これなら分子は自然数の掛け算なので、普通に筆算ができますね。

15×112の筆算

したがって、

$\begin{align}
1.5 \times 1.12 & = \dfrac{15 \times 112}{1000} \\[1.5ex]
& = \dfrac{1680}{1000} \\[1.5ex]
& = 1.68
\end{align}$

なので、Dさんの身長は1.68 mとなります。小数点の位置も無事決めることができましたね。

【小数の掛け算】

  1. 分数に直す(小数点以下の桁1つにつき$\frac{1}{10}$)
  2. 分子を筆算で計算
  3. 小数に戻す

小数の割り算

人間の身長の世界記録は、およそ2.5 mもあるという。Aさんはその大きさをイメージするため、鉛筆(長さ0.2 m)の本数に置きかえてみることにした。

身長2.5mを0.2mの鉛筆の本数に換算する様子

この時、世界記録は鉛筆何本分になるか?

これは次のような割り算として計算できます。

$2.5 \div 0.2$

掛け算と同じく、割り算においても小数点の位置が問題になりますが、これも分数に変形することで考えやすくなります。

$2.5 \div 0.2 = \dfrac{2.5}{0.2}$

ここで、「分数の分母・分子に同じ数を掛けてもよい」性質を使います。

小数点以下は分母・分子のいずれも1桁ですから、分母と分子の両方を自然数にするためには分母・分子に10を掛ければ良いですね。

$\begin{align}
\dfrac{2.5}{0.2} & = \dfrac{2.5 \times 10}{0.2 \times 10} \\[1.5ex]
& = \dfrac{25}{2} \\[1.5ex]
\end{align}$

こうなれば通常の割り算として計算できますね。

25÷2の筆算

よって、答えは12.5本となります。

【小数の割り算】

  1. 分数に直す
  2. 分母・分子が自然数になるように等倍する
  3. 自然数の割り算として計算する

まとめ

今回は小数の四則演算について学びました。改めて内容をまとめておきましょう。

  • 小数の足し算・引き算は自然数の場合と同じ(小数点を忘れないようにする)
  • 小数の掛け算は分数に直してから(分子を筆算で)計算し、小数に戻す
  • 小数の割り算は分数に直した後、分母・分子を等倍して自然数としてから計算する

足し算・引き算についてはシンプルですが、掛け算・割り算では小数点の位置を気にする必要があるので、そのまま計算しようとせず、分数を使うとわかりやすいです。

今回はここまでです。お疲れさまでした!

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