17F 「2つの表し方の違いは?」 ― 分数と小数

2. 分数と小数

こんにちは、まてがめです。

これまで5階にわたり、「分数」について学んできました。

分数は、私たちがいつも使う数である0や自然数(1, 2, 3, …)の間に存在する数ですが、こういった数を表す方法が実はもう一つあります。それが小数しょうすう)です。

では、分数と小数は何が違うのでしょうか?今回は分数と小数の違いやその変換方法について学んでいきます。

小数とは?

小数しょうすう)では、0や自然数(1, 2, 3, …)の間に存在する数を10進法を使って表します。そしてそのために小数点というものを使います。

具体的には、小数点を境にして一の位よりも小さい位を用意します。各位の呼び方ですが、小数点に近い方から順に「小数点第1位第2位第3位、…」と呼びます。

小数を使う時の位の考え方

こうすることで、1を10個に分けたうちの一つが0.1($=\frac{1}{10}$)、0.1をさらに10個に分けたうちの一つが0.01($=\frac{1}{100}$)、…という具合で、より小さい数を考えることができます。

小数→分数にするには?

小数で表される数は分数に直すことができます。例として、1.25を分数にしてみましょう。

まず、1.25を位ごとの足し算に分解します。

$1.25 = 1+0.2+0.05$

0.2は$0.1 = \frac{1}{10}$が2個、0.05は$0.01 = \frac{1}{100}$が5個集まったものなので、この等式は

$1.25 = 1+\dfrac{2}{10}+\dfrac{5}{100}$

と書くこともできます。

これを通分して足し合わせれば分数になります。分母を100にそろえれば計算できますね。

$\begin{align}
1.25 & = 1+\dfrac{2}{10}+\dfrac{5}{100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{100}{100}+\dfrac{20}{100}+\dfrac{5}{100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{100+20+5}{100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{125}{100} \\[1.5ex]
& = \dfrac{5}{4}
\end{align}$

約分まで行うと$\frac{5}{4}$となります。

ちなみに、「小数を自然数に直すには何倍する必要があるか」を考えることで計算することもできます。

1.25の場合、「1.25を125にするには100倍する必要がある(=125を100で割れば1.25になる)」ので、

$1.25=\dfrac{125}{100}$

とわかります。慣れてきたらこちらを使うと早いです。

分数→小数にするには?

続いて分数を小数に直す方法を見ていきましょう。これは割り算の筆算をベースにして考えることができます。

例として、先ほどの$\frac{5}{4}$を1.25に直してみましょう。

$\dfrac{5}{4} = 5 \div 4$

なので、これで割り算の筆算を組みます。

5÷4の筆算

まずは一の位に1が立てることができ、引き算を行うと余りは1になります。ここまでは今までと同じです。

商に1が立って余りが1となる

小数を考える場合は、ここからさらに割り算を行っていきます。ポイントは小数点以下(5の後ろ)に0が控えていると考えることです。この0は小数点第1位の0ですね。こう考えることで、余りである1の隣に0を下ろすことができます

小数点第一位の0を下ろす

すると$10 \div 4 = 2\hspace{2pt}\text{…}\hspace{2pt}2$なので、次のようになりますね。

商に2が立って余りが2となる

さらに割り算を進めます。小数点第2位に0があると見て、余りである2の隣に下ろします

小数点第二位の0を下ろす

$20 \div 4 = 5$となるので、今度は割り切れました。

商に5が立って余りが0となる

よって、

$\dfrac{5}{4} = 5 \div 4 = 1.25$

となります。

このように分数を小数に直す時は、小数点以下に0が続いていると見て、割り切れるまで筆算を行います

小数から分数へ、分数から小数へ直す方法について解説しましたが、よく使う数については計算しなくてもわかるように覚えておくと便利です。

よく使う数としては、次のようなものが挙げられます。

$\dfrac{1}{2}=0.5$

$\dfrac{1}{4}=0.25$

$\dfrac{1}{5}=0.2$

$\dfrac{2}{5}=0.4$

$\dfrac{3}{4}=0.75$

$\dfrac{3}{2}=1.5$

分数と小数の使い分け

では、分数と小数はどうやって使い分ければよいのでしょうか?

まず分数のメリットですが、これは「あらゆる場面で数として表せる」ことです。前回お話しした「分数の使い方」にもつながりますが、表したい数が割り算で求まるのであれば、それをそのまま分数として表すことができます。

一方、小数のメリットとしては「一目で数の大きさがわかる」ことが挙げられます。これは10進法が使われているからですね。

例えば、2つの数が並んでいる時、大小を比べるのであれば小数の方がすぐにわかります。

  • $\dfrac{5}{4}$ と $\dfrac{61}{50}$
  • 1.25 と 1.26

この両者はどちらも同じ数を並べたものですが、10進法に慣れている皆さんであれば、間違いなく下の方が大小の見分けがつくかと思います。このようなメリットから、日常生活では小数を用いられることが多いです。

ただ、計算は小数よりも分数の方がやりやすいです。小数の計算についてはこれから学んでいきますが、基本的に桁数が多くなるので筆算を使う必要が出てきます。

一方で同じ数を表す場合、分数の方が形はシンプルになることが多い(1.25と$\dfrac{5}{4}$が良い例)上に、約分も使えるので計算がしやすいです。

これらを踏まえると、数式として問題を処理したい時は分数人に数字を示したりする時は小数を使うのがベストですね。

【分数】

  • あらゆる場面で数として表せる
  • 数の大きさは比べにくい(通分が必要)
  • 計算はしやすい(約分が使える)

数式処理に便利!

【小数】

  • 一目で数の大きさがわかる(10進法のおかげ)
  • 計算はしにくい(桁数が増えがち)

人に数字を示すのに便利!

まとめ

今回は分数と小数の違いについて学びました。まとめると次のようになります。

  • 小数では、一の位の後ろにも「桁(小数点第○位)」があると考える
  • 小数→分数では、「位ごとに分解して分数の足し算とする」か「自然数に直すには何倍する必要があるかを考える」
  • 分数→小数では、割り算の筆算を使う
  • 分数のメリットは「あらゆる場面で数として表せる」こと、小数のメリットは「一目で数の大きさがわかる」こと

分数と小数はどちらも便利ですが、やはりメリット・デメリットがあるので、それを理解した上で使い分けましょう!

今回はここまでです。お疲れさまでした!

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