青チャートの8つのメリットとは? ― 【チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A / Ⅱ+B(新課程版)】

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こんにちは、まてがめです。

学年・単元に限らず、参考書選びというのは迷います。特に高校数学は、参考書の種類が豊富なので、逆にどれを使って学習すればよいのか、とても悩ましいですよね。

そこで今回オススメするのは、【チャート式 基礎からの数学】です。通称「青チャート」と呼ばれる本で、すでに名前は聞いたことがあるという方もいるでしょう。

まてがめも高校生だった頃に一度青チャートにはお世話になりました。このサイトを運営するにあたって、先日改めて最新の青チャートを購入したのですが、やはりすばらしい本でした(加えて、当時以上に中身も進化していて驚きました…!)。

今回は、そんな青チャート(数Ⅰ+A, 数Ⅱ+B)の魅力を「8つのメリット」として解説していきます。ファーストチョイスとしては間違いなしと言える本なので、参考書選びに迷っている方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

概要

初めに、青チャート(Ⅰ+A, Ⅱ+B)の概要について紹介しておきます。

タイトルチャート式 基礎からの数学Ⅰ+A
チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B
編著者チャート研究所
出版社数研出版
発行日(新課程版)数学Ⅰ+A:2021年11月1日
数学Ⅱ+B:2022年11月1日
ページ数数学Ⅰ+A:1,120ページ(本体:672ページ+別冊:448ページ)
数学Ⅱ+B:1,104ページ(本体:664ページ+別冊:440ページ)
価格(税込)数学Ⅰ+A:\2,255
数学Ⅱ+B:\2,431

青チャートの8つのメリット

青チャートの単元網羅性を表すベン図

高い網羅性

チャート式の強みの1つは、なんといっても単元の網羅性(もうらせい)です。

高校数学で学ぶ数学Ⅰ+A, Ⅱ+Bの全範囲をカバーしているので、学習している中で気になる点が出てくれば、青チャートを「辞書」として使うことができます。

2022年4月から高校数学は新課程に移行しています。対象は、2022年4月以降に高校に入学した方(この記事を執筆している2023年7月時点で高校2年生以下の方)です。

これに伴い、青チャートについても新課程対応版(今回紹介しているのはこちら)が出版されました

これから青チャートを購入する方は、自分が旧課程版と新課程版のどちらを購入すべきなのかよく確認しましょう。

【参考資料】

ちなみに後ほど解説しますが、青チャートは「単元の網羅性」もさることながら、「難易度の網羅性」も高いです。

教科書との相性が良い

青チャートは数研出版という会社から出版されているのですが、まさにこの会社が高校数学の教科書を作っています

言いかえれば、「教科書を熟知した会社が青チャートが作っている」ということです。当然、教科書との相性はバツグンなので、教科書の補助教材として活用できます。

定義・定理がわかりやすくまとまっている

意外と見逃しがちですが、青チャートでは表紙裏や各章の初めで、その単元で扱う用語や式の定義・定理・証明などがわかりやすくシンプルにまとまっています

数学では、用語・定義を理解すること、定理の証明方法をきちんと把握しておくことがすべての基礎(≠簡単)になります。

高校数学を学び始めて苦手意識が生まれてきている人は、まずはこの部分を読み込むだけで、それ以降の学習効率を大きく改善させることができますよ。

問題パターンごとに例題が用意されている

青チャートの特徴の1つが、教科書にあるような典型問題を「基本例題」という形で詳しく解説していることです。

特に、どんなモチベーションで解けばよいかを説明した「指針」や答案を書く時の「注意点」が各問題ごとに書かれているので、単にその問題を理解するだけでなく、類題に臨む上で必要な心構えも学ぶことができます。

加えて、ページ下には「練習」として例題と同じタイプの問題が用意されているので、例題を見てインプットした内容をすぐにアウトプットする練習ができるのも魅力的です。

学校の試験・模試対策にも使える

青チャートの良い所は、基本レベルだけでなく応用レベルにも対応していること。

例えば、先ほど紹介した「基本例題」の後には「重要例題」というものがあり、学校の定期試験や外部模試で差がつきそうな少し難易度の高い(入試前には必ず習得すべき)問題がのっています

また、各単元の最後にある「EXERCISES」や巻末の「総合演習」には、大学入試を意識した問題がのっており、単元別に実戦演習を行うこともできます

高校生の場合、毎日の学習の中でこれらすべてをやり込むのはなかなか難しいですが、可能な範囲で取り組んでみると、確実にライバルに差をつけられますよ。

問題の解答は別冊

先ほど紹介したように、青チャートには例題とは別に各種演習用の問題がのっていますが、その解答は他の問題集のように巻末にまとめてあるわけではなく、ちゃんと別冊になっています

答えを見るのに、ページを行ったり来たりする手間が省けるのは地味にありがたいポイントです。

また、解答は略解ではなく、本誌と同じように注意点も含めて詳しく書かれているので、自習における不便も少ないです。

デジタルコンテンツが付属

これは、私が高校生だった頃にはおそらくなかった付録です。現在の青チャートには、デジタルコンテンツとして「例題の解説動画」が付属しており、青チャートを購入した人であれば誰でも視聴することができます

「どうせ書いてあることそのまま話すだけでしょ」くらいの気持ちで何本か動画を視聴しましたが、まったくそんなことはなく、塾や予備校で受けられる授業・VODとほとんど遜色ないものでした…!(これには予備校業界も涙目)

動画はYoutubeのように倍速(~2倍)にしたり、全画面表示にしたり、履歴から再視聴もできるので、自分の好みに合わせた学習ができます。

また、問題によっては「サポートコンテンツ」も付属しており、例えば「関数における変数を実際に変化させていった時にどんなグラフになるか」のように、より視覚的な理解ができるような工夫がほどこされています(ちなみに関数だけでなく、図形や場合の数といった単元にもサポートコンテンツがあって驚きました)。

これなら「書いてあることを目で追いかけてもイマイチ内容が頭に入らない」という方も安心ですね。数研出版さん、ありがとうございます!!

参考事項が面白い

青チャートには、単元の途中で「参考事項」というページがいくつかあります。

内容は、その単元に関連する少し発展的なトピックスを扱っているのですが、これが純粋に読み物として面白いです(入試までに知っておくと便利なトピックスも結構ありました)。

勉強の合間に息抜きとして読んでみると、数学をより「学問として楽しむ」ことができるはずです。

青チャートのデメリット

青チャートの継続学習が三日坊主に終わる様子

ここまで青チャートのメリットについて話してきましたが、どんな参考書も万能ではありません。

青チャートにもデメリットがあるので、それについて解説しておきましょう(なお解決策はあります)。

分厚い

青チャートは「単元の網羅性が高い」ですが、それと引き換えに分厚いというシンプルなデメリットがあります(Ⅰ+A, Ⅱ+Bともに解答を含めて1000ページ以上)。なので、持ち運びにはやや不便です。

【解決策・考え方】

基本的には、自分の普段の学習場所(家・学校)に置いておくのがベスト

もし自習用に持ち運び(通勤・通学時に学習)したい場合は、必要な箇所のみをプリントもしくはスキャンしてデバイスに保存すればOK。

全内容を学習しようとするとキツイ

先ほどの「分厚い」という話にも通じますが、青チャートは分量だけで言えばかなり多いです。

したがって、青チャートを完璧に仕上げる(=すべての内容・問題を完璧に理解する)場合、相当の時間と労力が必要になります

【解決策・考え方】

問題集で学習する時は「1冊をやり込む」のが王道ですが、結論として、青チャートをすべて完璧に仕上げようとしなくて大丈夫です。理由は次の2つ↓

  1. 必ず途中でバテる。
  2. 大学入試(特に難関大学入試)を意識した場合、青チャートだけで完全な対策をすることはできない。

1つ目はモチベーションの問題。

「青チャートの内容を全部極めれば、数学が超得意になるはずだ!」と意気込む気持ちはわかりますが、たいていは途中で飽きます(人間の怠惰を甘く見ない方がいいです)。

なので、やり込もうとするのではなく、教科書のペースに合わせて要所要所で活用しながら付き合うようにしてください

2つ目は入試を見据えた場合の話。

どんな参考書にも「役割」というものがあります。青チャートの場合、入試対策というよりも「高校数学を理解する・大学入試問題を解くために必要な基礎固め」としての役割が大きく、大学入試に向けた本格的な学習については、それに特化した問題集や過去問にその役割を任せればよいです。

なので、基本例題や重要例題は日々の学習の中でしっかり押さえていくべきですが、EXERCISEや総合問題は一旦後回しにしても問題なく、時間があれば入試対策用問題集・過去問へ入る前段階として取り組めばOKです。

青チャートがすばらしい本であることは間違いないですが、「青チャートだけで高校数学を乗り切ってやろう」といった、青チャートだけですべてを完結させる考え方に固執しないことが大切です。

人によっては難しく感じる

数研出版のチャート式はレベルごとに色分けがあり、

白 → 黄 → → 赤

の順に難易度が上がります。

この中で、もっとも基本から応用までのバランスがとれているのが青チャートだとされていますが、一応上から2番目のレベルではあるので、人によっては青チャートだと内容が難しいと感じる可能性があります

【解決策・考え方】

まてがめ自ら、青チャートに目を通しながらこの問題について考えてみました。

一番に疑ったのが「基本事項の説明が不足している」という可能性。

確かに、説明が一部省略されていると思われる部分もありました。しかし、それについても、教科書には説明がちゃんと書いてあるはずの基本中の基本と思われる内容のみで、むしろ見落としがちな基本事項も省かずていねいに書いている印象の方が強かったです

なので、青チャートが自分に向いているか不安な方は、まず次の項目を確認してみましょう。

<数Ⅰ+A>

  • 教科書に書いてあることが6~7割くらいは理解できるか?
  • 中学数学の内容で、単元ごと記憶が抜け落ちているなど、理解があやしいところはないか?

<数Ⅱ+B>

  • 教科書に書いてあることが6~7割くらいは理解できるか?
  • 数Ⅰ+Aの内容で、単元ごと記憶が吹き飛んでいるなど、理解があやしいところはないか?

これらを、青チャートを購入するかどうかの一つの目安にしてみてください。もしこれらの項目がクリアできているなら、基本的に青チャートでの学習は問題ないはずです。

一方で「自分はちょっと厳しいかも…?」と感じる場合は、チャート式を買う買わない以前に、1学年前の内容に戻って学び直してみることをまずはオススメします。

✕ 数Ⅱ+B → 数Ⅰ+Aから学びなおす

✕ 数Ⅰ+A → 中学数学から学びなおす

特に、中学数学の内容に不安がある場合は、必ず中学数学を復習しましょう。そもそも高校数学は中学数学の内容が前提になるので、ここがおろそかだと必ず行き詰まります。

別の記事で「中学数学を5日で復習できる本」も紹介してます。よければ参考にしてみてくださいね。

よくある質問

Q&A

ここからは青チャートに関するよくある質問について解説します。

青チャートと黄チャート、どっちがいいですか?

青チャートは基本から応用までバランスよくカバーしているので、基本的には青チャートで問題ありません

ですが「青チャートだと自分には難しいかもしれない」という不安がある場合、デメリットのところでも解説したように、そもそも1学年前の単元に対する理解が足りていない可能性もあります

例1:✕ 三角関数(数Ⅱ) → 三角比(数Ⅰ)は理解できているか?

例2:✕ 二次関数(数Ⅰ) → 直線・放物線(中学)は理解できているか?

チャート式のレベルを決める前に、まずはいったん1つ前の学年の内容を復習してみてください。本を買うのはそれからでも遅くはありません。『急がば回れ』ですよ。

青チャートと赤チャート、どっちがいいですか?

「赤チャート使えば、早い段階でレベルの高い問題も無双できるのでは?」と考える人もいるでしょう。私もそう思い、高校生当時は赤チャートを買いましたが、難易度は想像以上に高かったです…

正直、赤チャートは基礎固め途中の高校1, 2年生には少し早いというのが私の意見です。

もし赤チャートを選ぶのであれば、次の質問に自信を持って「Yes」と言えるか、自分に問いかけてみてください。

  • 校内の数学の順位は余裕で5位以内に入れる
  • 外部模試で偏差値70以上を余裕で出している
  • 上2つの結果を、普段の学習だけで出せている

「そこまでではないかも…」と思うなら、十分な基礎が身についているとは言えません。あせらず、まずは青チャートで基礎固めに専念してください。

数Ⅰ+A, 数Ⅱ+Bを履修し終えたタイミング(高校3年生)から赤チャートに挑戦するのでも遅くはないです。

どんな使い方をすればよいですか?

次のような使い方がオススメです。

  • 「辞書」として使うことで、新しい用語・定義・定理で理解できない部分を解決。
  • (先生に当てられている or 宿題になっている)教科書の練習問題の解法がわからない時、「基本例題」や「重要例題」を参照する。
  • 「基本例題」や「重要例題」が理解できたら、問題文だけ見て解答を再現したり、「練習問題」を解いたりして、学んだことをアウトプットしていく。
  • 学校の試験や外部模試でさらに高得点を取れるように、「EXERCISES」を解いてみる。
  • 休暇中に単元を総復習したら、力試しに「総合問題」に挑戦して、実戦用問題集・過去問に向けた自信をつける。

一番やってはいけない使い方は、「とにかく最初のページから順番に読み進める」といった、必ず途中で挫折する方法です。要所要所で活用するようにしましょう。

青チャートだけやり込めば高校数学はOKですか?

私の意見としては、答えはNoです。

普段の学習(学校の試験対策や外部模試の対策)レベルであれば十分ですが、大学入試対策となると、最終的にはやはり実戦的な問題集や過去問に取り組む必要があります

とはいえ、青チャートをやり込めば、数学において一番大切な「基礎」の部分がバッチリ身につくはずです。

完璧主義的な使い方はしなくてよいので、まずは例題だけしっかり押さえるといった使い方で基礎固めに使いましょう。

どのくらいのペースで進めればよいですか?

基本的には、学校の教科書の進みに合わせて青チャートも進めればOKです

もし自分でどんどん先に進みたいという方は、一例として1ヶ月で1章を目安に計画してみてください。この場合、完全な単純計算ですが、

  • 数Ⅰ+A(全9章分):高校1年生の4月にスタート → 高校1年生の12月にゴール
  • 数Ⅱ+B(全10章分):高校1年生の1月にスタート → 高校2年生の10月にゴール

となるので、進みとしては結構現実的で無理がないです(数Ⅱ+Bは内容が少し重たいので、もう少しペースを落としてもよいかもしれません)。

なお、計画的に進める場合も、完璧主義(例:1つの単元が完璧になったら次に進む)にならないように注意してください。

時には前の単元に戻って学びなおすことも必要ですし、授業の進み・自分の理解度に応じて臨機応変に計画を変えることも大切です。

いずれにしても、青チャートは状況に応じて柔軟に使うようにしましょう。

新課程では、旧課程で数Bに含まれていた「ベクトル」が数Cに移行しています

ただし、新課程履修者が対象になり始める令和7年度の共通テスト(2025年1月実施)では、数学②において、数B(2項目)・数C(2項目)から3項目を選択して解答しなければなりません。

つまり、数Cについては文系・理系問わず学校で履修することになると言えます。学習計画を組むのであれば、このことはあらかじめ頭に入れておきましょう。

【参考資料】

何周すればよいですか?

前提として、小学校のドリルのようにすべてを何周もする必要はありません。

  • 初見でも解けた or 解答が頭で再現できる。
    →その周で終わり。
  • 解法・方針は立つけれど、きちんと解答に起こせるか自信がない。
    → 1度解いてみて、問題なければその周で終わり。ダメなら時間をおいてリトライ。
  • 解法・方針がさっぱり思いつかない
    → 解答解説を読んで理解し、次の日に解答を再現してみる(時間をおいてもう一度解く)。

一例ですが、このような基準を設けて最大で3周もすれば、たいていの問題は習得できるはずです。参考にしてみてください。

まとめ:青チャートで高校数学の基礎を固めよう!

基礎→応用→発展と積み上げていく様子

以上、青チャートの8つのメリットについて解説しました。

  • 高い網羅性
  • 教科書との相性が良い
  • 定義・定理がわかりやすくまとまっている
  • 問題パターンごとに例題が用意されている
  • 学校の試験・模試対策にも使える
  • 問題の解答は別冊
  • デジタルコンテンツが付属
  • 参考事項が面白い

デメリット(分厚い、全内容を学習しようとするとキツイ、人によっては難しく感じる)についても解説しましたが、いずれも解決策はあるので、参考書のファーストチョイスとしてはまず失敗しにくいのではないでしょうか?

高校数学の基礎固めにピッタリの青チャート、ぜひ購入してみてください。

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